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夢のような(?)インドネシア生活を経てコンシューマ業界に復帰


  飯島氏:

   アイオン RMTONI零がヒットしたあとに,またいろいろな会社から声がかかったんですが,そのときは作る気も失せていたし,スタッフもいない。そんなタイミングで,身内がインドネシアで商売をするからそっちを手伝ってくれないかという話が降ってきた。

  4Gamer:

  それはまた,意外な展開ですね。

  


  飯島氏:

  言葉が通じなくてもいいから,営業として頑張ってくれないかと,メチャクチャな話で(笑)。とはいえ,僕なんかはモノを書くだけじゃなくて,会社の社長として飛び込みで営業もしていたので,やろうと思えばやれるかなと。それで,家族でインドネシアに移り住んで,日本と行ったり来たりしながら,身内の仕事を手伝っていました。

  4Gamer:

  それはいつ頃のことですか。

  飯島氏:

  2003~2004年頃の話ですね。向こうは本当に物価が安いし,ニョニャっていう専用のメイドさんも,一人あたり月3000円くらいで雇えてしまう。運転手は月5000円くらい。買い物もマッサージもテニスも英会話も,数百円で利用できるんです。家には何人ものメイドさんがいて,まさに夢のような世界。

  4Gamer:

  それは,日本に帰りたくなくなりますね。

  飯島氏:

  ええ。しかも,家も広いんですよ。だから僕も,向こうに永住する手続きをしていたんです。そうしたらうちの息子が,日本の小学校に行きたいと言い出して。いまさら,何言ってんだお前はと思いましたよ(笑)。

  4Gamer:

  なるほど,それで日本に戻ってきたというわけですね。しかし,帰国してすぐにゲーム制作の仕事に就けるわけではありませんよね。帰国後はどんな仕事をされていたんですか?

  飯島氏:

  最初は,ゲーム学校の講師をやらせてもらいました。まずは講師をやりながら,ゆっくり仕事を探そうと思っていたんです。

  4Gamer:

  しかし,ゲーム業界関係者が飯島さんを放っておくわけもなく……。

  飯島氏:

  とても,ありがたかったです。日本に戻ってきてすぐに,ゲームを作らないかといろいろな人から誘われました。でも,5年もゲーム業界から離れていたので,業界周辺の知識がまったくなくて困りました。僕がゲームを作っていた頃は「パソコン通信」の時代ですが,いまはもう「インターネット」の時代ですし。そもそもスタッフも全然いないし,作ってくれと言われてもシナリオしか書けませんでしたから。結局,開発会社は別という形でコンシューマ業界に戻りました。

  「四八(仮)」(プレイステーション2)

プロジェクトEGG


  4Gamer:

  帰国後,最初にとりかかった仕事は「四八(仮)」ですか?

  飯島氏:

  そうですね。四八(仮)の制作には,なんだかんだいって3,4年かかりました。

  4Gamer:

  それは難産でしたね……。

  飯島氏:

  シナリオの規模が大きすぎて,納期を守ろうとすると,すべてのスクリプトを制作しきれない状況でした。そこでやむを得ず,僕が担当した部分のシナリオなどを大幅にカットしたりしました。

  4Gamer:

  なるほど。四八(仮)は発売後も,小さくはないバグがネット上で話題になりましたね。

  飯島氏:

  AION RMTええ,僕のところにも,プレイヤーさんから多くのクレームが届きました。しかし僕は,開発作業はおろか,デバッグにも参加していないので,困惑してしまったことも事実です。これが,企画から開発,デバッグまですべての工程に口出しができる立場だったら話は別なんですが。頑張ってくれた開発会社さんに迷惑をかけるわけにもいかないので,あえて何も言わないように努めました。

  4Gamer:

  クリエイターとしての“有名税”のようなものなんでしょうか。

  「四八(仮)」(プレイステーション2)

プロジェクトEGG


  飯島氏:

  それもあるでしょうけど,やはり僕の性格上叩きやすいんでしょうね(笑)。でも,それで話題になるなら,どんどん叩いてもらって結構です。それよりも怖いのは,話題に上らないことですから。

  四八(仮)は,僕としては見世物小屋的な,いかがわしさのあるものに仕上げたかった。それを遊んでいくうちに,あれ,この作品ってこれだけじゃないよね,という深みにはまっていく作品にしたかったんです。だけど,その深みにはまるための長編シナリオが,みんな削られてしまったのが心残りです。それでも,ある意味いかがわしさは僕が当初頭に描いていた以上に表現されたようなので,あれはあれでありかもしれませんね。

  4Gamer:

  長編シナリオが削られてしまった理由は,やはりスクリプトの制作が追いつかなかったことですか。

  飯島氏:

  そうですね。途中途中に挿入される「自分シナリオ」と呼ばれる基本シナリオが12話入っていますが,本来ならば50話あったんです。それらのシナリオだけで100万文字近く削除されました。最初は大きく3ルートに分岐する予定だったのですが,早いうちに1ルート分削除され,マスターが近くなったころ,もう1ルート削除されました。ゲームの最初にプレイヤーの家族構成や出身地などを細かく入力するようになっているんですけれど,それを活かしたシナリオはすべて削除されました。

  4Gamer:

  その削られ具合はちょっとすごいですねRMT……。

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